職場にeスポーツ部ができた日
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リハビリ×eスポーツ
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県内では今、企業や自治体の職員で構成されたeスポーツ部をつくろうとする動きが出始めています。果たしてその狙いはどこにあるのか。株式会社エムダブルエス日高の代表取締役である北嶋史誉さんに、立ち上げのきっかけや目的、目指す方向などを伺いました。
どうして「eスポーツ部」を立ち上げることになったんですか?
北嶋 デイサービスなどの施設や介護事業を行っており、リハビリに取り入れてみたらおもしろいんじゃないかと思ったからです。普通のスポーツだと体力のない人は勝ちようがないところ、ゲームだと勝てる可能性があります。脳のトレーニングにもつながりますしね。 弊社がeスポーツに初めて取り組んだのは、2020年11月のこと。育英短期大学と連携し、デイサービス利用者と学生がeスポーツを通してコミュニケーションを取ろうというプロジェクトを始めたことがきっかけになりました。その頃、利用者の方だけでなくスタッフも部活としてやってみたらどうだろうと考え、社員に声をかけ始めたのです。
社内の反応が気になります・・・!
北嶋 意外と隠れゲーマーが多いんですよ。「実はオレ、ゲーマーなんです」って社員が何人もおりまして(笑)。じゃあ、みんなでやろうよ!といういい流れができました。先日部活を開いてみたら15人くらい集まりました。スタッフごとに好みのゲームは異なりますが、これからもどんどん増えていきそうな予感がします。
そもそも、eスポーツに関心を持ったのはどうしてですか?
北嶋 私の子どもたちが大学生の頃。栃木と和歌山にいるはずの二人が毎晩のようにゲームを通して連絡を取り合っていたんです。しかも仙台にいる従兄弟も入れて3人で。今の時代、そんな方法でコミュニケーションをとっているんだと感心しました。興味を持ち始めたのはそのあたりから。弊社の事業所は県内のあちこちにあります。事業所やエリアの壁を超えてなにか一つのことを一緒にやる。ここからチームワークが育まれるんじゃないかと期待しています。距離と時間を超越できるeスポーツ…やらない手はないですね。
eスポーツのイイ影響。すでにいろいろと出ているようですね。
北嶋 900人もスタッフがいると顔も名前も知らないままになってしまうことがほとんど。ところがeスポーツがあることで、違う部署のスタッフ同士でも知り合う機会が生まれます。介護や医療の仕事はチームワークが大切なので、これだけでも相当大きい影響だと思っています。 上下関係が瞬間的に逆になるシーンもおもしろいですね。40歳近い先輩社員が20代の後輩社員に「ヘディングってどのボタンだっけ?」と聞いて、後輩が「四角四角!」、先輩「はい!わかりました!」といったやりとりだとか(笑)。 それにもちろん、業務でも良い効果が出始めています。ゲームを全くやってこなかった利用者さんでも、スタッフが声をかければ結構チャレンジしてくれます。働き盛りの頃はトラックの運転一筋だった方が、ハンドルを握りながらレースゲームに夢中になったり。利用者のみなさんが楽しみながら頭と体を使う。そんな雰囲気がだいぶ浸透してきましたね。
MWS日高とeスポーツ。今後の展望をお聞かせください!
北嶋 群馬県だけでもいいから、デイサービスリーグのようなものを作ってみたいですね。世に言うアンダー19みたいな感じで「オーバー60」とか「オーバー80」って枠組みがあったらおもしろそうじゃないですか。団体戦であれば、「要介護度を全員で15以上にする」というようなルールを設けてみるとか。利用者さんからは孫とやってみたいという声も届いています。体力差や世代を超えて多様な方が楽しむ場をここから広めていきたいです。 それと、やるからにはプロ選手を輩出したい!半分冗談ですが、半分本気です。eスポーツ部が盛り上がることで、弊社全体、群馬県全体が盛りがっていくことを期待しています。