爆誕!群馬のeスポーツ専用施設
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地域への思いと覚悟
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2021年1月末。群馬初のeスポーツ専用施設がオープンしました。株式会社群馬eスポーツの代表取締役社長・糸井丈之さんは、eスポーツのどこに魅了され、何に突き動かされたのか。その経緯や苦労など、新しい業界チャレンジへの背景に迫ります。
「群馬県初のeスポーツ専用施設立ち上げ」には深い思いがあると伺いました。
糸井 この時代、この地域にいる使命感。これに尽きますね。自分の話で例えると、私の孫やひ孫が墓参りに来てくれたときに寂しい思いをさせたくないんですよ。1億2000万人の国内人口はどんどん減っていくでしょうし、上毛かるたに登場する群馬県民の人口もこのままでは160万とか150万という数字になっていくかもしれない。そうした未来を見据えたとき、何代先の子孫もこの地域にいてもらいたいのです。この地域に暮らすみなさんにも、同じように何代にも渡ってこの地域で暮らし続けて欲しい。この思いをもって、これまでも群馬ダイヤモンドペガサスというプロ野球BCリーグの球団、当社独自の大学生向けの奨学金、NPO法人群馬外国人支援センターなどを立ち上げることで、多様な方がこの群馬に定住してくれるきっかけづくりを進めてきました。
どうしてeスポーツに興味をもったのでしょうか。
糸井 プロゲーマー、YouTuberになる子が増えてきたという情報などを耳にしているうちに、普段ゲームをやったりするわけではないのですが、トレンドであることを感じてきたんですよね。この分野で旗が上がっていれば、国籍を問わず様々な場所からこの群馬にやってきてくれる人がいるかもしれない。そう思わせてくれたのがeスポーツだったのです。
プロチームやテレビ番組の準備も進めているそうですね。
糸井 野球の球団を15年経営してきました。そのノウハウを活かして、eスポーツのプロ選手育成にも挑んでみようと考えています。既に施設やチームのスポンサー募集を始めていますし、群馬テレビでは2021年4月からeスポーツの番組を放送することも決まっています。また、番組はアーカイブ化して全国どこでも見られるコンテンツにする計画です。さらに、スクールや大会、塾とタッグを組んでのeスポーツ普及、民間の学童保育・アフタースクールにも挑戦してみたいです。アタマの柔らかい子どものうちからeスポーツに慣れ親しんでもらいたいですよね。
お金のかかる事業だと思いますが、それでも推し進められる原動力は?
糸井 京セラ・稲盛和夫さんの「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉があります。大きな夢を抱き、それを実現するときに自らに問わなければならないという教えです。野球の球団を作るときは風呂場で長いこと自問自答しましたし、今回も同じように問いました。そして、覚悟を決めたんです。「儲かるから」というような浅いそろばんの話ではありません。土壌づくり・啓蒙活動から始め、それもネット上ではなく地上戦で実行するという半分寄付のような事業でもありますからね。基本的には利己。だけど利他でもあるんです。私たちのやることがこの地域・この時代に受け入れられ、群馬で暮らし続けようという人が増えていくといいなと思っています。